同人誌は何冊刷るべきか悩みますよね。初めて本を出す人ならなおさらだと思います。
できるだけ多くの人に読んでもらいたいという気持ちはありつつも、たくさん刷るにはお金がかかるし、売れずに在庫を抱えることになってしまうのは怖いですよね。
ここでは、一般的に言われている部数の決め方と、筆者の実際の部数をご紹介します。
- 部数の決め方がわからない人
- 初めてサークル参加する人
- 経験者の実際の部数が知りたい人
同人誌の部数の決め方
一般的に言われている部数の決め方をご紹介します。
初参加のときは20~30部
初参加のときは、少なめに用意した方が良いでしょう。というのも、ほとんど捌けなかったとき、赤字になったり在庫を抱えたりします。
その点を考慮した結果、20~30部がちょうど良いと言われています。人によっては完売する可能性もあり、イベントならではの達成感を味わうことができます。
オリジナルジャンルでの発行や、ネット上での宣伝をしておらず判断材料がないときにもおすすめです。
SNSのフォロワー数の10分の1
特定のジャンルで活動し続けている場合、フォロワーの多くが同じジャンルの人である可能性があります。定期的に作品を上げていて、気に入ってフォローしてくれている人がいるならば、同人誌も買ってくれるかもしれません。
一般的には、フォロワー数の10分の1程度と言われています。
ただし、SNSの運用期間が長くなるほど、もう活動していないフォロワーもいます。また、作品以外のツイートや交流が活発だと、その分フォロワーも増えやすい傾向にあります。
人によっては、フォロワー数を参考にすると刷りすぎになってしまう可能性があります。
pixivの閲覧数やブックマーク数
最近では、pixivに同人誌のサンプルを掲載する人も多いのではないでしょうか?閲覧数やブックマーク数も部数の判断材料のひとつです。
人気ジャンルは閲覧数が多く、ブックマークがつきやすい傾向にあります。ブックマーク数を真に受けて刷りすぎないようにしましょう。
反対に、オリジナルや人の少ないジャンルはブックマークがほとんどつかないこともあります。ブックマークがほとんどない場合は、閲覧数を参考にしましょう。
Twitterのリツイートやいいね数
Twitterでは、気軽にいいねやリツイートができる点を考慮して部数を決めましょう。サンプルの絵が綺麗だったり、漫画が面白かったりすれば、購入の意思がなくてもたくさんの反応がくる可能性があります。
また、Twitterで活発に交流をしている人は、フォロワーが厚意で反応してくれることもあります。決して「いいねやリツイート数=部数」ではないことを念頭に置いて準備するようにしましょう。
pixivやTwitterのアンケート数
SNSを通じたアンケートは、比較的部数の参考にしやすい指標です。
ただし、回答者が必ずしもイベントで購入するとは限りません。アンケートでは、通販の部数も聞いておくのがおすすめです。
もちろん、なんとなく投票する人もいます。その他にも、絶対に欲しい人は多めに刷ってもらいたいため、アカウントを変えて複数回投票する人もいます。気軽に反応できるブックマークやいいねよりは信頼度が上がりますが、刷りすぎには注意しましょう。
ジャンルの規模
参加するジャンルの規模は必ず考慮しましょう。
一般的に、人気になり始めたジャンルは書き手の供給よりも読み手の需要の方が多く、部数が出やすい傾向にあります。アニメ化があったり、二次創作の投稿頻度が増えてきたりしたジャンルは、多めに用意しても捌ける可能性があるでしょう。
一方で、人気が出てからしばらく経過しているジャンルは、読み手の需要よりも書き手の供給が多く、意外と部数が出ません。読み手がたくさんいても、人気のある大手サークルたちの本を手に入れて満足するケースもあります。
実際にどのくらいの本が出るかは、そのジャンルで参加してみないと分かりません。身近に同じジャンルの経験者がいれば、アドバイスをもらうのもひとつの手です。(部数の話は嫌がられることもあるので、無理に聞くのはやめましょう)
イベントの規模・場所
イベントの規模が小さければ、その分人の出入りが少なくなります。さらに、地方からも人が集まりやすい都内の会場と比べて、地方開催は参加者が限られます。
このような条件に当てはまるときは、部数を少し少なめに見積もっておいた方が良いでしょう。
ネット上のアドバイスは、コミケを基準に述べていることが多いです。コミケはイベントの中でも最大級で、開催場所も都内です。最も人が集まるイベントと言っても過言ではないため、自分の参加するイベントの規模が小さかったり、地方開催だったりする場合は注意しましょう。
配置
イベント時は、スペースの配置も部数の参考になるでしょう。
人の流れが多い通路に配置されている方が、頒布物を手に取ってもらいやすくなります。反対に、スペースがイベント会場の端の方だったり通路が狭かったりすると、あまり人が通らず、目に留まりにくくなります。
配置が頒布数に大きな影響を与えることはほとんどありませんが、参考にしておくと良いでしょう。
【ジャンル別】筆者の頒布結果
大人気ジャンルの部数と頒布結果
1回目
大人気ジャンルで本を出したときの部数をご紹介します。pixivの総作品数は10万を超え、オンリーも頻繁に開かれています。
頒布した同人誌
特に人気のあるCP(カップリング)の恋愛漫画です。このCPだけで、参加サークル数は100を超えていました。
頒布結果
準備部数 | 頒布部数 | |
---|---|---|
イベント | 50冊 | 完売 |
通販 | 50冊 | 完売 |
イベントの頒布結果は完売。通販は予約開始から1週間ほどで完売しました。
pixivとTwitterの反応
- pixivのブックマーク数
- 入稿時 150
- イベント終了後 300
- Twitterのいいね数
- 100
部数の基準にしたもの
pixivのブックマーク数を参考にしてみました。
「初めて刷るときは思っているよりも少なめに」「ブクマ数の10分の1が目安」といった意見も耳にしていましたが、同じジャンルの友人のアドバイスをもとに、余ってもいいやと少々強気の部数で刷りました。
2回目
2回目も同じジャンルです。イベントの規模は1回目より少々小さめ。
頒布した同人誌
1回目とは異なり、推しのキャラ中心のコメディ漫画を頒布しました。大人気ジャンルのオンリーでしたが、推しのキャラメインで参加したサークルは5つでした。
頒布結果
準備部数 | 頒布部数 | |
---|---|---|
イベント | 150冊 | 90冊 |
通販 | 150冊 | 200冊 |
イベントで売れ残った分は全て通販に回しました。通販は2年ちょっと経った今でも、在庫を抱えています。
pixivとTwitterの反応
- pixivのブックマーク数
- 入稿時 500
- イベント終了後 1000
- Twitterのいいね数
- 200
部数の基準にしたもの
pixivのブックマーク数とSNSの反応数を参考にしました。
サンプルを上げたのはイベント数週間前、サンプルは少々多めにアップしています。今回は長めに通販に置いておきたいと思い、かなり多めに刷ることに決めました。
加えてpixivのブクマ数が好調だったため期待していましたが、思った以上に捌けませんでした。サンプルの内容次第で変化するため、ブクマ数で部数を決める難しさを実感しました。
小規模ジャンルの部数と頒布結果
小規模ジャンルで出した時の部数をご紹介します。じわじわと人気が出ているものの、参加サークル数は2桁前半のジャンルでした。
頒布した同人誌
CP(カップリング)の恋愛漫画です。このCPのサークルだけでジャンルの8割を占めています。
頒布結果
通販のみの頒布結果です。
準備部数 | 頒布部数 | |
---|---|---|
通販 | 300冊 | 完売 |
通販(追納) | 200冊 | 完売 |
小規模とはいえ、徐々に人気が出ているジャンルのためか、販売日から数日経って完売しています。
pixivとTwitterの反応
- pixivのブックマーク数
- 入稿時 90
- イベント終了後 300
- Twitterのいいね数
- 100
部数の基準にしたもの
経験者のアドバイスと通販の予約数を参考にしました。
SNSの反応は大人気ジャンルのときと比べて多くはありませんでしたが、フォロワーさんの「SNSの反応よりも部数が出る」というアドバイスを参考にしました。
初めてのジャンルなうえに、感染症の流行によりイベントが中止になり頒布は通販のみ。いよいよ何部刷れば良いか分からなくなり、印刷所で印刷するよりも先に通販の予約を開始しました。
通販では、委託先に迷惑がかからないよう、「たとえ予約が入らなくてもこの部数は納品しよう」と決めた部数を設定しました(印刷所にもその部数で予約を入れています)。
その後は予約が満了になったタイミングで徐々に追納し、通販で予約された数を参考に部数を最終決定しています。
負担にならない部数がおすすめ
今回紹介した体験談は、あくまでひとつの例になります。
同人誌の部数は、ジャンルや出す本の種類によって結果が異なるため、なかなか参考にしづらいのが正直なところです。
印刷費や在庫数など、金銭面や精神面において負担にならない範囲で決めるのがおすすめです。
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